よくある相談
睡眠障害
概要
子どもの睡眠は、成長とともに大きく変化します。赤ちゃんは出生直後、昼夜の区別なく短い睡眠と覚醒を繰り返しますが、生後4か月頃から24時間の睡眠リズムが整い始め、1歳頃には昼夜の睡眠・覚醒リズムが確立していきます。夜泣きや寝つきの悪さ、夜中に何度も目を覚ます、朝起きられないなど、子どもの睡眠に関する悩みは珍しくありません。睡眠不足になると、日中に眠そうにするだけでなく、イライラする、落ち着かないなどの症状がみられることがあります。子どもの睡眠障害には、寝つきが悪い、夜中に何度も目を覚ます、睡眠リズムがずれて朝起きられないなど、さまざまな睡眠の問題があります。
診察と検査
子どもの睡眠障害では、まず「何時に寝て、何時に起きているか」「寝つくまでにどのくらい時間がかかるか」「夜中に何回起きるか」「日中に眠気やイライラがあるか」など、睡眠の状態を詳しく確認します。夜泣きや寝つきの悪さ、朝起きられないといった症状の背景に、起立性調節障害、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、睡眠相後退症候群(睡眠時間帯が大きく後ろにずれる病気)など、治療可能な病気が隠れていないかを確認することも大切です。生活リズムや心理・社会的な環境、強い不安や感覚過敏などについても確認し、必要に応じて原因を整理します。
治療
睡眠障害の治療では、まず生活リズムを整えることが基本です。朝は日光を浴びて、朝食をしっかり摂り、昼間は十分に体を動かしましょう。夜は部屋を暗くして、眠りやすい環境をつくることが大切です。夜泣きや寝つきの悪さには、生活環境や心理的な要因が関係することもあるため、子どもの不安を軽減する心理的ケアや環境調整も重要です。感覚過敏や強い不安による入眠困難などでは、必要に応じて薬物療法を検討することもあります。睡眠時間だけでなく、日中の眠気や機嫌、生活への影響も含めて、子ども一人ひとりに合わせた対応を行います。
言語の遅れ
概要
言葉の遅れには、言葉を理解する力や話す力の発達がゆっくりな場合や偏りがみられる場合などがあります。 一般に1歳6か月頃には意味のある単語がみられ、2歳頃には2語文、3歳頃には簡単な会話ができるようになります。ただし、言葉の発達には個人差があり、話す言葉の数だけで判断することはできません。言語の遅れにはさまざまな背景があり、言語だけが特に遅れる場合のほか、知的発達、対人関係、注意・行動、運動などの発達と関連していることもあります。そのため、「何歳で何語話せるか」だけではなく、子どもの発達全体をみながら、どの部分でつまずいているのかを理解することが大切です。
診察と検査
診察では、妊娠・出産時の経過、中耳炎などの既往、家庭や園での様子を確認し、呼びかけへの反応、言葉の理解と発語、指さし、視線、対人関係、遊び方、運動発達などを観察します。また、知的発達の遅れ、自閉スペクトラム症などを含め、言葉の発達に影響するほかの要因についても検討します。言葉の遅れでは難聴を見逃さないことが重要で、必要に応じて耳鼻科をご紹介し、聴力検査を行います。
治療
対応は原因や発達の特徴によって異なります。発語は遅くても言葉の理解や対人関係が良好な場合には、成長とともに言葉が増えるか経過をみることがあります。一方、難聴や発達上の課題が疑われる場合には、早期に適切な評価や支援につなげます。小さい年齢では一度の診察で判断が難しいこともあるため、家庭での関わり方を一緒に考えながら、数か月ごとに言葉・社会性・行動面を継続して診ていきます。必要に応じて言語聴覚士による支援をおすすめします。その子がどこでつまずいているのかを把握し、得意な力を活かしながら、言語を習得しやすい方法を一緒に考えてもらい、学ぶ楽しさや「伝わった」という経験を積み重ね、子どもの意欲と自信を育てていくことが大切です。
神経発達症
概要
神経発達症(発達障害)は、脳の発達や働き方の特性によって、コミュニケーション、注意・集中、行動、学習、運動などにさまざまな特徴がみられる状態です。代表的なものに、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、知的能力障害、発達性学習症などがあります。特徴の現れ方や程度は一人ひとり異なり、感覚の過敏さ、不注意、多動・衝動性、気持ちの切り替えにくさなどがみられることもあります。大切なのは、できないことだけを見るのではなく、その子の得意なことや特性を理解し、生活しやすい環境を整えることです。
診察と検査
診察では、乳幼児期からの発達の経過、家庭や園・学校での様子、コミュニケーション、行動、学習、感覚の特徴などを確認します。また、必要に応じて身体的な病気がないかを確認し、発達検査や知能検査を用いて、子どもの得意・不得意を客観的に評価します。検査だけで診断するのではなく、本人や保護者からのお話、診察時の様子、生活の中でどのような困りごとが生じているかを総合的に評価することが大切です。
※当院では、発達検査や知能検査を実施しておりませんので、必要な際は実施できる保健センターや教育機関、医療機関をご紹介します。
治療
神経発達症では、その子の特性をなくすことではなく、得意な力を伸ばしながら、本人が生活しやすくなるよう支援することが大切です。家庭や園・学校で環境を整え、具体的でわかりやすい伝え方を工夫したり、できたことを認めて自尊心やセルフコントロールを育てたりします。必要に応じて心理療法、言語療法、作業療法などを組み合わせ、不注意や多動・衝動性などによる生活上の困難が強い場合には薬物療法を検討することもあります。医療・家庭・園や学校などが連携し、その子に合った方法を一緒に考えていきます。
不登校
概要
不登校は、心理的・情緒的・身体的・社会的な要因などにより、学校に行かない、または行きたくても行けない状態です。学校に行けない背景には、不安や過敏さ、発達特性、学習や友人関係、家庭環境など、さまざまな要因が関係することがあります。また、頭痛、腹痛、朝起きられない、倦怠感などの身体症状を伴うこともあります。不登校は「学校に行かせれば解決する」とは限らず、本人が抱えているつらさや葛藤を理解することが大切です。
診察と検査
診察では、まず本人の話を丁寧に聴き、学校に通えていた頃から現在までの経過を確認します。本人、家庭、学校それぞれの状況や関係性を整理し、身体的な病気、精神的な問題、発達特性、心理・社会的な要因などを総合的に評価します。必要に応じて学校や教育相談機関、スクールカウンセラーなどとも連携します。
治療
不登校の治療では、単に登校することだけを目標にせず、本人が安心して生活できる環境を整え、将来の社会的な自立につなげていくことが大切です。まずは本人の気持ちを尊重し、家庭を「居場所」として安心できる場所にすることから始めます。そのうえで、生活リズムや身体症状を整え、本人の興味や得意なことを支えながら、家庭・学校・医療・福祉が連携して、その子に合ったペースで社会とのつながりを回復していきます。学校を休む日が増えている、登校しようとすると体調が悪くなる 、久しぶりに学校に行きたいけど勇気が出ないときにはご相談ください。
低身長
概要
低身長とは、同じ年齢・性別の子どもと比べて身長が低い状態をいいます。身長には遺伝や体質、思春期の時期などによる個人差がありますが、成長ホルモン分泌不全症、甲状腺機能低下症、ターナー症候群、SGA性低身長症などの病気が隠れていることもあります。現在の身長だけでなく、「以前より身長の伸びが悪くなっている」ことも大切なサインです。
診察と検査
低身長の診察で大切なのは、現在の身長だけでなく「これまでどのように伸びてきたか」を確認することです。低身長の診察では、母子健康手帳や学校健診などの身長・体重の記録から成長曲線を作成し、身長の伸び方(成長速度)を確認することが最も重要です。出生時の在胎週数・身長・体重、両親の身長や思春期の時期、これまでの病気について確認し、体のバランスや思春期徴候などを診察します。成長の程度や経過から病気が疑われる場合には、必要に応じて血液検査、骨年齢の評価、成長ホルモン分泌刺激試験など、原因に応じた検査を行います。
治療
治療は低身長の原因によって異なります。家族性低身長や思春期が遅いことによる低身長では、成長を定期的に確認しながら経過をみることがあります。一方、成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、SGA性低身長症などでは、一定の条件を満たした場合に成長ホルモン治療が行われます。大切なのは「背が低い」という一時点の身長だけで判断せず、成長曲線から身長の伸びを継続して評価することです。 低身長が気になった際にはご相談のうえ、専門施設をご紹介します。
肥満症
概要
子どもの肥満症は、単に体重が多いだけではなく、肥満によって健康上の問題が生じたり、将来的な生活習慣病につながる可能性がある状態です。小児では身長が伸びるため、成人のBMIだけで判断せず、年齢・性別・身長・体重から「肥満度」を評価し、成長曲線に沿って体格の変化を確認することが大切です。肥満には食事や運動、睡眠などの生活習慣だけでなく、体質や遺伝的な要因、家庭や生活環境など、さまざまな要因が関係します。本人を責めたり、無理な食事制限をしたりするのではなく、健康的な体重管理を長く続けられる方法を一緒に考えることが重要です。
診察と検査
診察では、身長・体重を測定して肥満度を確認し、成長曲線に記録します。血圧や腹囲を確認し、必要に応じて黒色表皮腫など、肥満に関連する身体所見も評価します。また、朝食の有無、食事や間食の量・時間、運動習慣、睡眠時間、スクリーンタイムなどを具体的に確認します。初診時の血液検査は、年齢や肥満の程度、合併症の可能性などを考慮して検討します。体重に比べて身長が伸びない場合は、甲状腺機能低下症などの可能性も考えて評価します。
治療
小児肥満の治療では、「体重を減らすこと」だけを目標にするのではなく、成長に合わせて健康的な体重を維持・管理できるようになることを目指します。成長期では、まず体重の増加を抑えながら身長の伸びを待つ方法が基本となります。食事、運動、睡眠などについて、本人と家族が実行できる具体的な目標を一緒に決め、受診ごとに振り返ります。できたことを認めながら、本人が前向きに継続できる方法を家族と一緒に探していきましょう。
思春期早発症・遅発症
概要
思春期は、子どもの身体が大人へと成長し、生殖機能を獲得していく時期です。男の子では精巣の発育や陰毛、声変わり、女の子では乳房の発育や陰毛、初経などの「二次性徴」がみられ、同時に身長が急速に伸びる成長スパートが起こります。思春期が始まる時期や進み方には男女差や個人差がありますが、二次性徴が極端に早い「思春期早発症」や、なかなか始まらない「思春期遅発症」では、病気が隠れていることがあります。
診察と検査
診察では、乳房・精巣・陰毛などの二次性徴がいつ始まったかを確認し、発達の程度を評価します(Tanner分類)。身長・体重を成長曲線に記録し、身長の伸び方や成長スパートの時期も確認します。必要に応じて性ホルモン、甲状腺ホルモンなどの血液検査や骨年齢を調べ、さらに腹部超音波検査やMRI、ホルモン負荷試験などを行うことがあります。
治療
思春期の始まる時期や進み方には個人差が大きいため、正常範囲であれば成長曲線や二次性徴を確認しながら経過をみます。一方、思春期早発症や思春期遅発症が疑われる場合には、その原因を調べ、必要に応じて小児内分泌の専門医と連携します。思春期早発症では、原因や進行の程度などによって成熟を遅らせる治療が行われることがあります。女の子では7歳6か月未満で乳房がふくらみ始める、男の子では9歳未満で精巣や陰茎が発育するなど、二次性徴が通常より早くみられる場合にはご相談ください。