子どもでよく見られる症状
発熱
発熱の主な原因は、風邪をはじめとするウイルス感染症です。子どもの熱は午後に高く、午前に低くなることが多く、子どもの体温は1日の中でも変動します。発熱時には体温の高さだけでなく、活気、水分摂取、呼吸状態など全身の様子を確認することが大切です。ただし、生後2か月未満のお子様は38℃以上の発熱がある場合、菌血症や尿路感染症などの病気の可能性があり、様子を見ずに医療機関にご相談ください。また、1日を通して下がらない発熱が3〜4日以上続いた場合は、感染症以外の病気が隠れている可能性があるため受診が勧められます。
解熱薬の使い方
感染症のときの熱は免疫細胞がウイルスや細菌と戦う際の炎症物質によって生じています。解熱剤は、熱による症状を軽減させるためのお薬です。解熱薬を使用しても、感染症が早く治るわけではありませんが、熱が高くて食事が進まない、寝られない、機嫌が悪いときには使用することを検討します。しっかり食事と睡眠をとることを目的に解熱薬の使用を検討してください。
子どもの解熱剤は、安全の点からアセトアミノフェン(カロナール)を使います。アセトアミノフェンの効果の持続時間は4~5時間です。使用量や使用間隔はお子様の体重や製剤によって異なるため、医師から指示された用法・用量を守って使用してください。
咳
子どもの咳の原因はかぜによるものが多く、数日で強くなり、その後徐々に改善しますが、咳だけがしばらく残ることもあります。一方で咳が長引く場合には、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、気管支喘息、細菌の感染症などの原因がないか調べる必要があります。診察では、咳がいつから続いているか、乾いた咳か痰が絡む湿った咳か、夜間や運動時に多いか、発熱や鼻水などの症状がないかを確認します。また、既往歴や家族歴、ペット、タバコの煙などの生活環境も原因を考える上で重要な情報となります。咳が出た場合は、痰を出しやすくするために十分な水分摂取が勧められます。1歳以上のお子様であれば、小さじ1杯のはちみつを混ぜて水分をとると、咳を和らげる効果があります。かぜとは関係なく咳が出ている場合やかぜのあと咳が長引いている場合には、受診をご検討ください。
鼻水・鼻づまり
鼻水、鼻づまりは子どものかぜで最も多い症状のひとつです。鼻水が鼻から出ずに、のどの方に垂れ込んでしまうと咳の原因になります。特に乳幼児は鼻呼吸が中心のため、鼻がつまると、食べものが飲み込みにくくなる、空気を飲み込んでおなかが膨れて吐いてしまう、鼻で呼吸できない不快感で寝にくくなるなどの問題が生じます。また、乳幼児が鼻づまりを起こしやすい理由としては、鼻腔が狭いこと、鼻・のど粘膜の分泌物を排泄する力が未熟であることがあります。
鼻水・鼻づまりが長引いている場合には、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎を考える必要があります。
鼻づまりで睡眠や食事に影響がでている場合や鼻水が長く続く場合は、受診をご検討ください。
耳痛・耳だれ
子どもの「耳が痛い」「耳だれが出る」という症状は、急性中耳炎や外耳道炎などでよくみられます。特に乳幼児は耳の痛みを言葉で伝えられないため、機嫌が悪い、突然泣く、しきりに耳を触るなどが耳痛のサインになることがあります。診察では、いつから症状があるか、発熱・鼻水など風邪症状の有無、耳かきや外傷の有無などを確認し、耳鏡で外耳道や鼓膜を観察します。耳かきによる刺激が原因の場合は、耳を触りすぎないことも大切です。「耳を触って泣く」「耳だれが出る」「耳の痛みを繰り返す」といった場合には、受診をご検討ください。
いびき
子どものいびきは、睡眠中に鼻やのどなどの上気道が狭くなり、空気の通り道が振動して生じます。時々のいびきだけでなく、「子どものいびきが毎晩続く」「寝ているときに呼吸が止まる」といった場合には、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。小児ではアデノイド肥大や扁桃肥大が主な原因で、アレルギー性鼻炎による鼻づまりなども関係します。診察では、いびきや無呼吸の程度、口呼吸、寝返り、中途覚醒などの睡眠中の様子に加え、日中の眠気や集中力低下について確認します。睡眠中の動画は診断の参考になります。アデノイド肥大や扁桃肥大が原因でいびきをかき呼吸が止まる場合には、手術の必要性が考慮されるため医療機関にご相談ください。
腹痛
子どもの腹痛では、便秘はよくみられる原因の一つです。たまっている便を押し出そうとすることで腹痛が起こります。まずは排便状況、痛みの起こり方や、強さ、部位などを診察で確認します。繰り返す嘔吐、血便、虫垂炎や腸重積、炎症性腸疾患など緊急性の高い病気が隠れている場合があります。一方で、腹痛を繰り返していて、診察や検査で明らかな異常が見つからない場合には、心身のストレスなどが関係していることもあります。持続する強い腹痛、嘔吐などの症状がある場合には、様子を見ずに医療機関を受診してください。
嘔吐
子どもの嘔吐の多くは、ウイルスや細菌による感染性胃腸炎が原因で、数日で自然に軽快します。嘔吐が落ち着いてきたら、経口補水液などを少量ずつ、こまめに与えます。一方で、水分が全くとれない、嘔吐が長引いているなどの場合は、感染性胃腸炎以外の病気の可能性があるため、受診を検討してください。
下痢
子どもの下痢の多くは、ウイルスや細菌による感染性胃腸炎が原因で、数日から1週間程度で自然に改善します。乳幼児では、胃腸炎の後に一時的に乳糖を消化・吸収しにくくなり、下痢が長引くことがあります。症状が続く場合には、食事やミルクの調整が必要か医師にご相談ください。下痢が2週間以上続く場合や血便や腹痛を伴う場合には、感染性胃腸炎以外の原因も考えられるため受診をご検討ください。
頭痛
子どもの頭痛は、感染症による発熱に伴うものであることが多く、発熱を伴わない場合は片頭痛や緊張型頭痛などが比較的よくみられます。めまい、嘔吐、朝起きにくいなどの症状も伴う場合は起立性調節障害などが関係していることもあります。突然の激しい頭痛、意識がぼんやりする、嘔吐を繰り返す、手足の動きに左右差があるといった場合は、まれに脳や神経の病気が隠れていることがあるため、速やかに医療機関を受診してください。
発疹
子どもの発疹には、感染症、アレルギー、あせも、おむつかぶれなど、さまざまな原因があります。発疹の原因を考えるときは、皮膚の見た目、かゆみの強さ、広がり方など発疹の状態だけでなく、発熱や全身状態、食事や薬、感染症との接触などを確認し、原因を考えます。1日の間に出たり消えたりする発疹もあります。気になる発疹がある場合は、症状が現れたときの写真を撮っておくと診察に役立ちます。高熱を伴う発疹、どんどん広がる発疹、膿を伴う発疹の場合には早めの受診をご検討ください。
けいれん
けいれんとは、筋肉が急激かつ自分の意思とは関係なく収縮する症状で、子どもでは比較的よくみられます。原因として最も多い熱性けいれんのほか、てんかん、急性脳炎・脳症、低血糖、頭部外傷などさまざまな病気があります。また、震えや生理的な動きなど、けいれんに見えて実際には異なる場合もあります。診断では、発熱の有無、けいれんの持続時間、手足の左右差、意識の変化、発作後の様子などを詳しく確認することが重要です。発作時の動画は診断に役立つため、安全が確保できれば撮影しておくとよいでしょう。けいれんが長く続く、繰り返す、けいれん後も意識が戻らない、左右差がある場合には、速やかな医療機関の受診が必要です。
夜泣き
夜泣きとは、空腹やおむつの汚れ、体調不良など明らかな原因が見当たらないのに、赤ちゃんが夜間に泣き続ける状態を指します。生後3か月頃から始まることがあり、生後6か月前後にピークを迎え、1歳半頃までに落ち着くことが多く、脳の発達過程の一時的な現象です。夜泣きに効果が確立した治療法は特になく、成長とともに自然に落ち着いていくのを待つことが基本です。生活リズムを整える、日中に体を動かす、就寝前の環境(部屋の明るさや音、室温など)を整えるといった工夫が助けになることがあります。保護者の方の睡眠不足や負担が大きい場合や原因となる体調不良が疑われる場合は、ご相談ください。
言葉が遅い
「言葉が遅い」「2歳になってもしゃべらない」といった言葉の遅れは、乳幼児健診でもよく相談されます。言葉の発達には個人差があります。大切なのは話せる言葉の数だけでなく、言葉を理解できるか、指さしや視線、人とのやりとりができるかなどを含めて評価することです。診察では、呼びかけへの反応、言葉の理解と発語、遊び方、対人関係、運動発達などを確認します。「言葉が増えない」「呼びかけへの反応が乏しい」と心配な場合には、ご相談ください。
かんしゃく
かんしゃくは、思いどおりにならないときに大声で泣く、叫ぶ、床に寝転ぶ、物を投げる、叩く・蹴るなどして気持ちを表す行動です。特に1歳半~4歳頃、なかでも2~3歳に多く、言葉で意思をうまく伝えられず、感情をコントロールする力がまだ十分に発達していない子どもにみられる自然な発達過程のひとつで、多くは成長とともに減っていきます。診察では、年齢、きっかけ、頻度、持続時間、自傷・他害や物を壊す行動の有無、家庭や園・学校での様子などを確認します。年齢に比べてかんしゃくが強い、生活に大きな支障がある場合には、かんしゃくが起こる理由を探るために受診をご検討ください。
体が小さい
「体が小さい」「体重がなかなか増えない」という心配は、特に乳幼児でよくみられます。年齢に応じて期待される身長・体重増加がみられない場合、一時点の体重だけで判断せず、母子手帳などをもとに身長・体重を成長曲線に記録し、これまでの増え方を確認します。診察では、出生時の体格、発達、授乳や離乳食・食事の量や内容、嘔吐・下痢などの症状、実際の食べ方や生活環境について詳しく確認します。「体重が増えない」「周りの子より小さい」と心配なときは、受診をご検討ください。
乳房が大きい
子どもの「乳房が大きい」「胸がふくらんできた」という変化には、年齢による正常な発達から、早発乳房、思春期早発症などさまざまな原因があります。乳幼児の女の子では乳房だけが一時的に大きくなる「早発乳房」がみられ、多くはほかの二次性徴や急激な身長の伸びを伴わず、自然に小さくなります。また、左右差や片側だけのふくらみがみられることもあります。男の子でも思春期に一時的な乳房腫大がみられることがあります。診察では、乳房が大きくなった年齢や経過、陰毛・性器出血などの二次性徴、身長の伸びを確認し、成長曲線を作成します。「子どもの胸が早くふくらんできた」と心配な場合は、年齢と成長の経過を含めて受診をご検討ください。